ゴールが見えないまま、何を直すんですか?

river surrounded by green trees

「とりあえず改善」していませんか?

「課題は山ほどある。とにかく改善だ」
「現場で困ってることを全部洗い出そう」

一見、前向きな取り組みに見えます。
でも、ちょっと立ち止まって考えてみてください。

――その改善、何のためにやっていますか?

もし、即答できないとしたら、
あなたの会社は“ゴールなき改善”をしているかもしれません。


改善が進まないのは、現場のせいではない

「うちの社員は受け身なんです」
「改善しても続かない」
そう感じている経営者は多いでしょう。

でも、実はそれ、現場の意識の問題ではなく、方向の問題なんです。

行き先を示さずに「動け」と言われたら、
人はどうしても足が止まります。

たとえば――
地図も目的地も知らされずに「とりあえず走って」と言われたら、
誰でも不安になりますよね。

改善活動も同じです。
ゴールがなければ、現場は“動きようがない”のです。


目的のない改善は、ただの「負担」になる

現場でこんな声を聞いたことはありませんか?

「これ、何のためにやるんですか?」
「前も同じことやりましたよね?」

そう。ゴールが見えないまま改善を繰り返すと、
社員は“改善疲れ”を起こします。

新しいチェックリストを作り、
報告書を増やし、会議を重ねても、
目的が共有されていなければ、ただ仕事が増えるだけ。

本来の改善とは、「働く人を楽にすること」。
それが“苦しい作業”になっているなら、
見直すべきはやり方ではなく、目的の立て方です。


ゴールを描けない会社に共通する3つの特徴

私が支援してきた企業の中で、改善が空回りしている会社には、
ある共通点がありました。

それは、次の3つです。


① 「今の不満」から始めている

多くの会社が、“困っていること”から改善を始めます。
もちろん間違いではありませんが、
そのままでは“部分最適”に終わります。

必要なのは、「どうなりたいか」から逆算する発想。

「困りごと」ではなく、「理想の状態」から始めることが、
改善の成功率を劇的に高めます。


② 「数字」と「状態」の両方を描いていない

「コスト削減」「効率化」など、
数字だけを追う改善は長続きしません。

人が動くのは、“変化を実感できる”ときです。

「社員が自信を持って提案できる会社にする」
「新人が3ヶ月で一人前になる仕組みを作る」

こうした“状態”の目標があると、
現場は目的をイメージしながら行動できるようになります。


③ 「経営と現場のゴール」がズレている

経営者は「利益を上げたい」。
現場は「作業を減らしたい」。

どちらも正しいのに、
“つながっていない” ことが問題です。

現場が感じているムダを、経営の目線で“成果”に変換できれば、
改善は一気に加速します。


改善とは、「ゴールに近づく動き」をデザインすること

改善とは、「悪いところを直すこと」ではありません。
むしろ、未来の理想に向けて“動く方向”を整えること。

だからこそ、最初に必要なのは“診断”ではなく“目的地の設定”。

・3年後に、社員10人で今の業務量を回せる会社にしたい
・属人化を減らして、休んでも仕事が止まらない仕組みを作りたい

こうした“経営者の未来像”が明確になると、
改善は一気に意味を持ち始めます。


「何を直すか」より、「どこに進むか」を決めよう

ゴールが見えないまま直しても、
現場はまた別の場所で問題を生み出します。

逆に、ゴールが見えている会社は、迷いません。
たとえ課題が出ても、
「これは本当に目標に近づくか?」で判断できるからです。

改善とは、走ることではなく、
“正しい方向を見失わないためのコンパス”なのです。


“整える改善”で、会社を目的地へ導く

私は、経営者の理想を“現場で動く計画”に変える整え屋として、
中小企業の業務改善・仕組み化支援を行っています。

あなたの会社がもし、
「頑張っても成果が見えない」「改善しても疲弊する」と感じるなら、
それは“ゴールの再設定”のタイミングです。

直すことより、進む方向を整える。
そこから、本当の改善が始まります。

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